事業計画書と創業計画書は何が違うの?
今後進めていく事業を、現実的なプランとしてまとめたものが事業計画書です。創業計画書も基本的には同じものと考えていいのですが、簡単にいうと創業計画書は創業時の融資で提出する書類なのに対し、事業計画書はすでに事業を起こしている人が事業拡大等で資金が必要になった場合に融資で必要となる書類です。
日本政策金融公庫による「創業計画書」と「事業計画書(中小企業経営力強化資金の場合)」の内容を例にとると記載内容の違いは下記の通りです。
- 創業計画書
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- 1.創業の動機
- 2.経営者の略歴等
- 3.取扱商品・サービス
- 4.取引先・取引関係等
- 5.従業員
- 6.お借入の状況
- 7.必要な資金と調達方法
- 8.事業の見通し(月平均)
- 9.自由記述欄
- 事業計画書(中小企業経営力強化資金の場合)
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- 1.現況、新商品の開発または新役務の内容、課題・重点取組項目、具体策
- 2.業績推移と今後の計画
- 3.借入金・社債の期末残高推移
- 4.計画終了時の定量目標および達成に向けた行動計画等
- 5.認定支援機関等の所見等
- 6.認定支援機関連絡先
創業計画書がこれから始める商品やサービスについて見通しを記載するのに対し、事業計画書は経営上の課題や取組むべき重点項目、改善に向けた具体策や、実績の推移などを記入します。今後の計画が過去の実績から見て実現可能なものである必要があります。
創業計画書でアピールするポイントは
創業計画書の場合、事業のアピールをするのに創業時のため過去の実績を使うことは不可能です。そのため創業者の過去の事業経験が、これから始める事業の実現性につながることがアピールのポイントになります。また創業時の自己資金についても事業と結びついた内容であることが重要です。
- 事業内容について
- 過去の事業経験の履歴を並べるだけではアピールになりません。過去の事業経験がこれから始める事業にプラスになるように作成することがポイントになります。
例えば飲食業を始めるとしたら「食べることが好き」「居酒屋に通い詰めた」「アルバイトで調理の経験がある」などではなく、外食産業でマネージメントのキャリアを積んだなどの実績がアピールになります。
これから始める事業に対する単なる熱意ではなく、その事業がビジネスとして成功するかどうか根拠のある熱意でなければアピールになりません。 - 自己資金について
- 創業時の融資は、過去の実績が問われない分「事業目的ではなく借金返済に使われてしまうのではないか」と警戒してチェックされることもあります。そのため少額でも自己資金があることは大切なポイントになります。さらに問われるのが「どのように自己資金を準備したのか」という内容です。「親や親戚からもらった100万円」と「事業経験を積むためにその業界で働いて計画的にコツコツ貯めてきた100万円」では、同じ100万円の自己資金でも中身が違うと判断されます。過去の事業経験と自己資金の内容が結びついていることが重要なアピールポイントになります。
融資を受けなくても事業計画書が必要な理由とは?
- 事業の現状の把握
- 事業が軌道に乗っていて追加融資も必要ない、そんな状況だったらわざわざ事業計画書を作る必要はないと思う経営者もいるかもしれません。しかし事業計画書をまとめることは、現在の事業の収益がどのくらいなのかを知るいい機会にもなります。また事業が行き詰まった時、予定通りに進まなかった時でも事業の理念や目的を再確認することで進むべき方向性を見失わずにすむというメリットもあります。そして期ごとに作成することで、より客観的に事業の現状を分析できるので今後の事業戦略を見極める材料にもなります。
- プレゼン資料
- 今後ビジネスパートナーを組む会社に、人材を集める機会に、出資を募る場合に・・・など、事業を続けていくと自社を知ってもらう様々な場面に出くわします。そんな時、事業計画書は自社を正確に知ってもらう資料を作るのに大変役に立つ材料になります。