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創業者が知っておくべき助成金と補助金の違い



違いを知って上手に活用!助成金と補助金とは

必要性が認められる場合に国から交付される返済不要のお金、それが助成金や補助金です。税金が財源の一部であるため細かい要件があるものの、融資と違い「返さなくていい」というのは創業者にとってとても魅力的ですね。ですが、意外とこれらの違いは知られていません。助成金と補助金には大きく異なる部分がありますので、助成金と補助金の違いを知って上手に活用しましょう!
 
助成金と補助金を比較してみました。

あり

助成金 補助金
主に厚生労働省 管轄省庁 主に経済産業省または地方自治体
雇用促進、労働環境改善など 目的 中小企業の事業強化
通年など比較的長いものが多い 公募期間 1~3ヵ月程度の短いものが多い
要件合致を証明する書類 必要書類 事業にお金を使ったことを証明する書類
要件に合致すれば受給できる 受給条件 事業内容や社会的必要性、受給の妥当性を書類でアピールする必要がある
なし 審査
低い 受給の難易度 高い

金額が決まっているものが多い。
(数十万円~百万円強程度)
支給額 上限と下限のみ決定。実際の支給額は経理の利用状況で変動する。
(数百万円~数億円程度)
後払い 支払い時期 後払い
原則なし 返済義務 原則なし
なし 会計検査院の検査 あり
雑収入 勘定科目 雑収入(経費補助金の場合)

「金銭が交付される」という意味においては、実は助成金も補助金も境界線はあいまいになってきており、経済産業省からも「○○助成金」という名前の補助金が出ることがあります。ですがその受給の条件は、補助金は金額が大きい分難しく、申請件数や金額次第で締め切りよりも早く打ち切られてしまう場合もあります。一般的に4~6月頃もしくは10~11月頃に募集されるケースが多いので、補助金の申請を検討している場合はその時期に注意しておきたいですね。

創業者が利用できる助成金・補助金は4パターン

創業者が利用できる助成金や補助金は、大きく4パターンに分けることができます。
 

①厚生労働省系の助成金
②経済産業省系の補助金
③地方自治体独自の助成金・補助金
④その他の助成金・補助金

 
それぞれ創業者が知っておくべき助成金と補助金とはどのようなものがあるか、代表的なものをご紹介します。
 
①厚生労働省系の助成金
 【キャリアアップ助成金】
パートやアルバイトなどの有期契約の従業員に対して、「キャリアアップを図るための施策を行うことを助成」する助成金です。具体的には以下の7つのコースに分かれており、要件は下記のように定められています。
「正社員化コース」…有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換又は直接雇用した場合
「賃金規定等改定コース」…全て又は一部の有期契約労働者等の基本給の賃金規定等を、増額改定した場合
「健康診断制度コース」…有期契約労働者等を対象に「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、4人以上に実施した場合
「賃金規定等共通化コース」…有期契約労働者等と正社員との共通の賃金規定等を新たに規定・適用した場合
「諸手当制度共通化コース」…有期契約労働者等と正社員との共通の諸手当制度を新たに規定・適用した場合
「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」…選択的適用拡大の導入に伴い、社会保険適用となる有期契約労働者等の賃金引上げを実施した場合
「短時間労働者労働時間延長コース」…有期契約労働者等の週所定労働時間を5時間以上延長し、社会保険を適用した場合
これら以外にもそれぞれコースごとに細かく要件が決められており、また申請する事業主が用意しなければいけない書類なども多くありますが、要件に合致すれば審査なくほぼ受給できるため、ぜひとも利用したいですね。

②経済産業省系の補助金
 【地域創造的起業補助金(通称:創業補助金)】
新しく事業を興す創業者に対して、「創業に関わる経費の一部を補助」してくれる補助金です。「創業に関わる経費の一部」とは、「設備費」「人件費」「賃貸料」などです。注意点として、この補助金は「産業競争力強化法に基づく認定市区町村又は認定連携創業支援事業者による認定特定創業支援事業の支援」が必要となっています。つまり認定市区町村と一緒に申請書類を作り、押印してもらって初めて審査書類を提出できるということになります。認定市区町村は中小企業庁のホームページに掲載されているので、一度確認するといいでしょう。

・事業実施完了日までに従業員を1名以上雇用すること

対象要件 ・新たに創業する者であること
補助率 かかった経費の最大1/2まで
補助金の上限 【外部からの資金調達がある場合】「50万円以上200万円以内」
【外部からの資金調達がある場合】「50万円以上100万円以内」

【事業承継補助金】
先代経営者の廃業による後継者の開業に利用できる補助金です。法人の場合は、先代経営者の退任および後任の代表就任が対象となります。

対象要件 ・経営に関する職務経験を有している者(役員・経営者3年以上の要件を満たす者)
・創業・承継に資する指定の研修等を受講した者
補助率 2/3以内
補助金の上限 【事業所の廃止・既存事業の廃止・集約を伴わない場合】100万円以上200万円以内
【事業所の廃止・既存事業の廃止・集約を伴う場合】100万円以上500万円以内※
※経営革新等に要する費用として上限200万円
事業所の廃止等に要する費用として上限300万円

③地方自治体独自の助成金・補助金
地方自治体が地域内の産業振興などを目的として、独自で助成金や補助金を設定している場合があります。店舗の家賃補助やホームページ作成費用補助金など種類は多岐にわたり、その要件や助成金額も様々です。各自治体によって温度差はあるものの、創業しようとする地域で該当するものがあるかどうか確認してみましょう。
 
④その他の助成金・補助金
上記以外にも、財団法人や政府系金融機関、大手企業などが独自に創業者に対して助成金・補助金を用意していることがあります。優秀なビジネスプランを持つ数名の創業者だけが得られるケースがほとんどで、審査等は大変厳しいですが採用されれば自信にもなりますね。
 

注意しておきたいポイントがあります!

助成金・補助金ともに、支給はすべて後払いとなります。そのため、これらをあてにして創業資金とすることは出来ません。実際に振り込まれるまで1年以上かかる場合もあり、決算期をまたいでしまう可能性があることも念頭に入れましょう。この場合、支給決定年度で計上する必要があります。
また補助金は募集期間が短く、さらに締め切り日に近づくと審査員の目が肥えることで審査が厳しくなる傾向にあります。申請日が遅くなるほど採択率や補助金額が下がっていくと言われているため、ゆとりをもって申請できるように準備しましょう。なお補助金の審査に合格した場合、実際に補助対象となる経費は「合格手続きを経た後から使う経費」となります。事前に発注しているものや、支払い済みのものは対象となりませんのでご注意ください。