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創業者が知っておくべき助成金の種類と金額



助成金には2種類ある!創業時に使えるのはどれ?

国や地方自治体から事業支援のために受け取ることのできる「返済不要のお金」、それが助成金です。3,000種類あるといわれる助成金ですが、創業時に使える助成金は大きく2種類に分けることが出来ます。それは、「創業時の雇用に関して使える」ものと、「労働環境改善に関して使える」もの。主に厚生労働省の管轄で、人の雇用・労働に関して使えます。創業融資と違い、助成金は要件にさえ合致していれば比較的受給できることが多いため、ぜひとも情報をキャッチして申請したいですね。助成金は特に宣伝されることもなく、知らなければ知らないでそのまま通り過ぎてしまうものなので、自分から積極的に調べましょう。
 
なお、助成金の中には「中小企業かそれ以外か」によって助成内容が異なるものがあります。「中小企業かどうか」の判断基準は以下の通り(助成金によって異なる場合もあります)ですので、検討の際には確認してくださいね。

産業分類 資本または出資額 常時雇用する労働者数
小売業(飲食店を含む) 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下
※厚生労働省助成金パンフレットより一部引用

創業時の雇用に関して使える助成金はコレ!

数多くある助成金の中から、「創業時の雇用に関して使える助成金」をご紹介します。ただ助成金は要件や金額など内容が変わることも多いので、申請する場合には必ず最新の情報を自分で確認してください。
 
①生涯現役起業支援助成金
40歳以上の中高年齢者が起業することで自らの就業機会を作り出し、さらに事業運営のために中高年齢者などを雇用した場合にかかる募集・社員教育費などの一部を助成してくれるものです。

※厚生労働省ホームページより一部引用

 
②特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)
学校の既卒者や中退者を採用し、継続して雇用した場合に受け取れる助成金です。

支給要件 (1)起業基準日から起算して11ヵ月以内に「生涯現役起業支援助成金 雇用創出措置に係る計画書」を提出し、都道府県労働局長 の認定を受けていること。
(2)事業継続性の確認として、以下の4事項のうち2つ以上に該当していること。
   a.起業者が国、地方公共団体、金融機関等が直接または第三者に委託して実施する創業に係るセミナー等の支援を受けていること。
   b.起業者自身が当該事業分野において通算10年以上の職務経験を有していること。
   c.起業にあたって金融機関の融資を受けていること。
   d.法人または個人事業主の総資産額が1,500万円以上あり、かつ総資産額から負債額を引いた残高の総資産額に占める割合が40%以上あること。
(3)計画期間 内(12ヵ月以内) に、対象労働者を一定数以上(※)新たに雇い入れること。
   ※60歳以上の者を1名以上、40歳以上60歳未満の者を2名以上または40歳未満の者を3名以上(40歳以上の者1名と40歳未満2名でも可)
(4)支給申請書提出日において、計画期間内に雇い入れた対象労働者の過半数が離職していないこと。
(5)起業日から起算して支給申請日までの間における離職者の数が、計画期間内に雇い入れた対象労働者の数を超えていないこと。  など
支給額 ・起業者が高年齢者(60歳以上)の場合、2/3(上限200万円)
・起業者が上記以外の者(40歳~59歳)の者の場合、1/2(上限150万円)
支給要件 この助成金の支給要件は、コースごとに以下の通りです。
【既卒者等コース】
(1)既卒者・中退者が応募可能な新卒求人(※1)の申込みまたは募集を行い、当該求人・募集に応募した既卒者・中退者の通常の労働者(※2)として雇用したこと(少なくとも卒業または中退後3年以内の者が応募可能であることが必要です)
(2)これまで既卒者等を新卒枠で雇い入れたことがないこと

【高校中退者コース】
(1)高校中退者が応募可能な高卒求人の申込みまたは募集を行い、当該求人・募集に応募した高校中退者を通常の労働者として雇用したこと(少なくとも中退後3年以内の者が応募可であることが必要です)
(2)これまで高校中退者を高卒枠で雇い入れたことがないこと

※1 新卒求人とは学校(小学校及び幼稚園を除く。)等に、卒業または修了することが見込まれる者(学校卒業見込者等)であることを条件とした求人をいいます。なお、高校中退者が応募可能な高卒求人は除きます。
※2 通常の労働者とは、直接雇用であり、期間の定めがなく、社内の他の雇用形態の労働者(役員を除く)に比べて高い責任を負いながら業務に従事する労働者をいいます。

支給額 対象者を雇い入れて一定の要件を満たした場合に、企業区分、対象者及び定着期間に応じ各コース1名を上限として、下表の支給額を支給します。
【中小企業】既卒者等コース 1年定着で50万円、2年定着で10万円、3年定着で10万円
高校中退者コース 1年定着で60万円、2年定着で10万円、3年定着で10万円
【それ以外の企業】既卒者等コース 1年定着で35万円
高校中退者コース 1年定着で40万円
※厚生労働省ホームページより一部引用

特定求職者雇用開発助成金には上記「三年以内既卒者等採用定着コース」以外にも、65歳以上の高年齢者を雇い入れる場合の「生涯現役コース」や高年齢者・障害者・母子家庭の母などの就職困難者を雇い入れる「特定就職困難者コース」などがあります。
 
③トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
若者雇用促進法に基づく認定事業主が、ハローワークや職業紹介事業者などの紹介で35歳未満の対象者に対してトライアル雇用を実施すると、1人につき最大5万円(最長3ヵ月)支給されます。

支給要件 受給するためには、次の要件のいずれも満たすことが必要です。
(1)対象労働者がハローワーク、地方運輸局(船員となる場合)または職業紹介事業者(以下「ハローワーク・紹介事業者等」という。)の職業紹介の日(以下「紹介日」という。)において、次のイ~ニのいずれにも該当しない者であること。
  イ 安定した職業に就いている者
  ロ 自ら事業を営んでいる者又は役員に就いている者であって、1週間当たりの実働時間が 30 時間以上の者
  ハ 学校に在籍している者( 在籍している学校を卒業する日の属する年度の1月1日を経過している者であって卒業後の就職内定がないものは除く。)
  ニ トライアル雇用期間中の者
(2)次のイ~ヘのいずれかに該当する者
  イ 紹介日において就労の経験のない職業に就くことを希望する者
  ロ 紹介日において学校を卒業した日の翌日から当該卒業した日の属する年度の翌年度以降3年以内である者であって、卒業後安定した職業に就いていないもの
  ハ 紹介日前2年以内に、2回以上離職又は転職を繰り返している者
  ニ 紹介日前において離職している期間が1年を超えている者
  ホ 妊娠、出産又は育児を理由として離職した者であって、紹介日前において安定した職業に就いていない期間(離職前の期間は含めない。)が1年を超えているもの
  ヘ 紹介日において就職支援に当たって特別の配慮を有する次のa~hまでのいずれかに該当する者
a 生活保護受給者
b 母子家庭の母等
c 父子家庭の父
d 日雇労働者
e 季節労働者
f 中国残留邦人等永住帰国者
g ホームレス
h 住居喪失不安定就労者
(3)ハローワーク・紹介事業者等に提出された求人に対して、ハローワーク・紹介事業者等の紹介により雇い入れること
(4)原則3ヵ月のトライアル雇用をすること
(5)1週間の所定労働時間が原則として通常の労働者と同程度(30時間(上記(2)d、gまたはhに該当する者の場合は20時間)を下回らないこと)であること
支給額 支給対象者1人につき月額4万円※※対象者が母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合、1人につき月額5万円
※厚生労働省ホームページより一部引用

これらのほかにも数多くの助成金がありますので、起業の際には必ず確認するようにしましょう。
 

労働環境改善に関して使える助成金はコレ!

雇用した従業員の「労働環境を改善すること」に関して使える助成金をご紹介します。
 
①人材開発支援助成金(特定訓練コース)
OJT(on-the-job trainingの略で、日常業務を通じた従業員教育のこと)とOff-JT(職場外での教育訓練のこと。講習会や研修、通信教育など)を組み合わせた訓練、若年者への訓練、労働生産性向上に資する訓練等を実施する場合に支給される助成金です。

支給対象となる訓練 労働生産性の向上に資する訓練、若年者に対する訓練、OJTとOff-JTを組み合わせた訓練等、効果が高い訓練について助成
対象 中小企業/中小企業以外/事業主団体 等
助成額・助成率 OJT 【実施助成(1人1時間当たり)】665円※中小企業以外は380円
生産性要件を満たす場合は840円※中小企業以外は480円
Off-JT 【賃金助成(1人1時間当たり)】760円※中小企業以外は380円
生産性要件を満たす場合は960円※中小企業以外は480円
【経費助成】45%※中小企業以外は30%
生産性要件を満たす場合は60%※中小企業以外は45%
支給限度額・限度時間 OJT 【実施助成(1人1訓練あたり)】680時間
Off-JT 【賃金助成(1人1訓練あたり)】1,200時間
【経費助成】15~50万円※中小企業以外は10~30万円
※厚生労働省ホームページより一部引用

※生産性要件とは、訓練開始日が属する会計年度の前年度の生産性とその3年度後の会計年度の生産性を比べて6%以上伸びていることを指します。
※事業団体等の助成額・助成率は「経費助成」のみとなります。
※その他、支給にかかる制限が細かく決められています。
 
人材開発支援助成金は上記「特定訓練コース」以外にも対象者や内容によって「一般訓練コース」や「特別育成訓練コース」などがあります。間口の広い助成金ですので、従業員への教育を検討する場合には最新の情報を調べてみましょう。
 
②人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)
事業主が、評価・処遇制度、研修制度などの雇用管理制度の導入等によって労働環境の改善を行い、離職率の低下に取り組んだ場合に助成されます。

支給要件 受給するためには、次の要件のいずれも満たすことが必要です。
(1)雇用管理制度整備計画の認定
  次の〔1〕~〔5〕の雇用管理制度の導入を内容とする雇用管理制度整備計画を作成し、管轄の労働局の認定を受けること。
          〔1〕評価・処遇制度
          〔2〕研修制度
          〔3〕健康づくり制度
          〔4〕メンター制度
          〔5〕短時間正社員制度(保育事業主のみ)
(2)雇用管理制度の導入・実施
   (1)の雇用管理制度整備計画に基づき、当該雇用管理制度整備計画の実施期間内に、雇用管理制度を導入・実施すること。
(3)離職率の低下目標の達成
   (1)、(2)の実施の結果、雇用管理制度整備計画期間の終了から1年経過するまでの期間の離職率を、雇用管理制度整備計画を提出する前1年間の離職率よりも、目標値(※)以上に低下させること。
   ※低下させる離職率の目標値は対象事業所における雇用保険一般被保険者数に応じて変わります。
支給額 57万円(生産性要件を満たした場合は72万円)
※厚生労働省ホームページより一部引用

人材確保等支援助成金は上記「雇用管理制度助成コース」以外にも、「設備改善等支援コース」や「人事評価改善等助成コース」など多くのコースがあります。
 
上記2つの助成金以外にも、有名な「キャリアアップ助成金」や仕事と家庭の両立に取り組む場合の助成金「両立支援等助成金」など、様々な助成金があります。いずれも大変細かく要件が決められていますが、合致すれば比較的受給しやすいお金です。「確認するのは大変…」と思われる方は、専門家のサポートを受けてみることも検討するといいでしょう。