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助成金・補助金の審査を通過するポイント!



助成金・補助金、審査の違いは?

助成金も補助金も、国や地方自治体から受けられる返済不要の融資です。
どちらも受け取るには申請をするという点や後払いでの受け取りになる点など共通点もありますが、審査の有無や募集期間の違いなどは、審査を通過するために知っておきたい重要なポイントです。
審査の点を中心に両者の違いを比較してみました。

助成金 補助金
審査基準 要件に該当しているかチェック 事業内容を厳しく審査
書類審査 あり あり
面接審査 なし あり
募集時期 通年 年1〜2回
申請期間 長い 短い(数週間〜1ヶ月程度)
採択件数上限 なし あり
難易度 低い 高い

【助成金の審査】
助成金は、申請をして条件を満たしていれば原則誰でも受給することができます。雇用関係を目的にしたものが多いのが特徴です。原則的に公募期間は限定されてなく、通年利用できます。
 
【補助金の審査】
これに対し補助金はあらかじめ予算が決められていて、一次審査(書類)と二次審査(面接)を通過した申請者が受給できる仕組みになっています。社会に役立つ事業や経済効果を生む事業を目的にしたものが多いため、社会的必要性をアピールしないと審査を通過することはできません。また公募期間が短く、期間が過ぎると応募は締め切られてしまい、時期を逃すと1年近く待つことになります。

審査通過のカギとなる書類作成、そのポイントとは

助成金も補助金も審査を受けるためにはまず申請書を作成して提出しなければなりません。助成金(一部公募型の助成金を除いて)はこの申請書を含む書類のみの選考となり、要件が満たされていれば審査を通過することができます。
一方補助金は書類審査を通過すると次は面接審査にすすむのですが、書類審査で多くが落とされるため、どちらも申請書を含む書類作成が重要なポイントとなります。
 
【書類作成の前に知っておくこと】
①審査員について
選考する審査員は国や自治体の職員ではなく、いわゆる有識者と呼ばれる人たちです(通常3〜4人)。具体的にはビジネスの専門家(税理士、中小企業診断士など)、技術の専門家(その補助金分野の技術系専門家)、補助金分野の専門家などで構成されます。有識者とはいえ、すべての分野について精通しているわけではありません。誰が読んでも理解できるようわかりやすい表現で記入しましょう。
②助成金、補助金の目的を確認
申請する助成金あるいは補助金の目的を理解し、募集内容が事業に合致しているかを確認しましょう。申請したけどそもそも利用対象ではなかったとか、利用対象なのに目的に合っていない内容を書いてしまい審査で落とされてしまったということもあります。この点は見落としがちですが、事前にしっかり募集要項を読み込んでから書類作成にすすみましょう。
 
【書類作成のポイント】
①申請書について
申請書は国の管轄省庁や自治体のホームページからダウンロードできます。基本的なことですが、誤字脱字はNGです。またきちんとした文章で書くことも重要です。いくら目を引く内容であったとしても、誤字脱字があったり文章がおかしかったりすると信頼度は一気に落ちてしまいます。そして専門用語や業界用語はできるだけわかりやすい言葉に変えたり説明を入れたりすることで、同じ内容でも審査員への印象が変わります。
②事業計画書について
助成金では必要ない場合もありますが、補助金では必要になる申請書類です。
事業計画書では
・事業の売りは何なのか
・競合他社との差別化ができているか
など事業の独自性について具体的にアピールしていきます。さらに「この事業は社会的必要性があり、かつビジネスとして成り立つ」ということを具体的な数値や客観的な根拠を用いて説明していかなくてはなりません。また事業計画書を含めた指定の申請書は記入できる文字数や枠が決まっているため、これらをシンプルにわかりやすく記入する必要があります。
③添付資料について
指定書類については絶対に不足があってはいけませんが、プラスの資料があることは禁じられていません。紙面に限りのある事業計画書では説明しきれなかった場合などは、詳しく説明するために新たに書類を作って添付するといいでしょう。また広告やチラシなどもわかりやすい添付資料になります。メディアに取り上げられた時の記事などは客観的な意見としてアピールできる資料にもなります。
競合他社との差別化を示す資料は審査にプラスになるので積極的に添付しましょう。
 

面接審査の流れとその対策について

補助金や一部の助成金では、書類審査を通過した事業者に対して面接審査を行い、その中から最終的な受給者を決めます。面接審査では経営者の能力や申請書類の内容にズレがないか、など申請書類ではわからないところがチェックされます。
【面接の流れ】(通常30分〜1時間)
①挨拶・自己紹介
②申請書類を使った事業内容についてのプレゼンテーション
③面接官による質疑応答
 
では面接の流れに沿ってそれぞれのポイントを見ていきましょう。
①挨拶・自己紹介
・必ず事業の責任者となる人物がやること
中小企業ならば経営者・社長が行いましょう。いくら若いスタッフに任せていたとしても、面接の場で説明するのが若いスタッフでは審査をする側は不安になってしまいます。
・身だしなみには気をつけること
ラフな格好が信条だという人もいると思いますが、その信条から説明していては面接の時間は終わってしまいます。短時間の面接で身だしなみでマイナスな印象を与えないためにも、ラフな格好は避けスーツを着用した方がいいでしょう。
・自信を持った姿勢で臨むこと
いくら申請書類がしっかりしていても、経営者の態度に自信がないと面接官に不安感を与えてしまいます。
 
②申請書類を使った事業内容についてのプレゼンテーション
・結論から伝えてインパクトを与える
面接官はあらかじめ申請書類に目を通しているので、ある程度の概要はわかっています(そのためにもわかりやすい書類作成は重要)。
この後の③面接官による質疑応答の時間を十分に確保するためにも、一から十まで全てを説明する必要はなく、結論から伝えてインパクトを与えるのがコツです。申請書類をそのまま読み上げるようなプレゼンは厳禁。
・視覚に訴える方法で
技術的な専門家ではない審査員にも伝わるよう、パワーポイントで画像や客観的な数値のチャートを取り入れるなど視覚に訴える方法で説明するのも有効的です。時間短縮にもなります。
・熱い思いを「簡潔に」
紙では伝えられない熱い気持ちを伝えられるのは、まさにこのプレゼンテーションの場でしかできないこと。ぜひ熱い思いを「簡潔に」伝えましょう
 
③面接官による質疑応答
・数値は頭にしっかり入れておくこと
申請書や事業計画書の数値は頭にしっかり入れておきましょう。質疑応答で数値を聞かれた時に「えっと・・・」と資料をめくって探していては、貴重な時間がなくなるだけでなく、面接官にはマイナスイメージを与えてしまいます。
・質疑応答の想定をしておくこと
面接官は事業内容の弱点をついてくることがあります。実はこの質問にどう答えるかがとても重要になります。事前に弱点になりうる点を洗い出し、それに対して感情的ではない客観的な反論や対処法を述べられるようにしておきましょう。
・想定外の質問にも慌てないこと
想定外の質問が来ることも想定しなくてはいけません。今現在の自分の知識では答えられないと思ったら、そのままの事実を答えましょう。そう言った質問は、質問者にとって専門分野である可能性もあり、ごまかしたり嘘をついたりするとボロが出て、今までの努力が水の泡となってしまいます。素直に答えられる態度も見られています。
 

最後に・・・

補助金の場合、予算の関係で上限枠があり、面接審査でその枠内に事業者を絞ります。そのため内容に問題がなくしっかりした事業者であったとしても、その募集の回にさらに素晴らしい事業者があればそちらに決まってしまいます。また審査員は毎回同じではないため、同じ基準の審査とはならないこともあります。問題がなくても審査に通過できないこともあるのです。助成金や補助金は何度でも申請することができます。銀行の融資とは違って落ちても信用が下がることはないので、一度審査に落ちたとしてもあきらめずに次の機会にリベンジしてみましょう。
もちろん問題があれば審査は通過できません。特に書類審査で落ちる場合は内容に問題があるので、自力での見直しに不安がある場合は、社会保険労務士や行政書士などの専門家に相談するのもいいと思います。助成金や補助金申請の実績がある専門家を利用することで、審査の通過率はアップしますし、申請にかかる時間を大幅に短縮することも可能です。