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女性のための創業融資



1.女性で良かった?!起業時に使える創業融資

起業家にとって、創業時の資金調達はとても重要な問題です。創業融資はさまざまな対象要件で数多く存在していますが、女性だから利用できる、「創業者が女性であること」が要件として明記されている創業融資があるのをご存知でしょうか?
 
それは、「女性、若者/シニア起業家支援資金」。創業融資に積極的な政府系金融機関である日本政策金融公庫の融資制度です。
利用対象者として「女性の新規事業を興す起業家」であることだけが適用要件であるため、とても利用しやすい融資制度となっています。この制度の概要を紹介します。

ご利用いただける方 女性または35歳未満か55歳以上の方であって、 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方
資金の使いみち 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする資金
融資限度額 7,200万円(うち運転資金4,800万円)
利率(年) 下記の使いみち、返済期間、担保の有無などによって異なる利率が適用
・運転資金及び設備資金(土地取得資金を除きます。)
・技術・ノウハウ等に新規性がみられる方の運転資金及び設備資金(土地取得資金を除きます。)
・土地取得資金
ご返済期間 設備資金20年以内(うち据置期間2年以内)
運転資金7年以内(うち据置期間2年以内)
担保・保証人等 お客さまのご希望を伺いながらご相談させていただきます。
※日本政策金融公庫ホームページより一部抜粋

 
利率は状況によって異なるものの、民間銀行で受ける融資やカードローンなどと比べて低い利率が適用されます。
また、この融資を利用したうえで「新創業融資制度」(※)を適用することで、3,000万円(うち運転資金1,500万円)までは無担保・無保証で融資を受けることが出来ます。ただしその場合、新創業融資制度の対象要件を満たし、かつ上記の要件にはない自己資金として、創業資金総額の10分の1以上の自己資金を用意する必要があります。
なお、女性のための創業融資としてネット上でよく出ている同資金の「女性小口特例制度」ですが、こちらは現在制度自体がなくなっているため合わせて注意しましょう。
 
上記以外に民間企業が行う女性起業家に対しての創業融資として、「ちふれ女性起業家支援制度」があります。これは株式会社ちふれ化粧品が毎年行っている創業融資で、例年8月の1か月間を募集期間として実施されています。

応募資格 以下のいずれかに該当し、新しく設立する会社での事業に専念できる女性。
(1)日本国内で起業を目指しており、2018年2月末までに株式会社設立を予定している方
(2)日本国内ですでに起業している個人事業主で、事業拡大のため2018年2月末までに株式会社設立を予定している方
※学生・就業者・子育て中の方でも応募可
※申請者及び関係者が反社会的勢力と関係がある場合は、応募不可
万が一、採用決定後に反社会的勢力と関係があることが判明した場合は、決定を取り消し
対象事業 営利性を追求する事業であること
女性の視点で考えた夢のある事業であること
※既に法人化されている事業、株式会社以外で法人化を予定している事業は対象外
応募期間 2018年8月1日~2018年8月31日
支援金額 起業・事業拡大にあたっての費用面のサポート(資本金の出資及び貸付金の貸付)
【資本金】100万円(対象事業すべて)
※100万円で株式会社を設立後、同額がちふれ化粧品より給付される
※設立後、株式の35%を譲渡(保有割合は女性起業者が65%、ちふれ化粧品が35%となる)
【貸付金】最大900万円(事業内容によって決定)
※貸付利率/年1.0%
※貸付期間/10年以内(元本返済の据置期間2年以内)
※担保等/無担保・無保証
※使用条件/事業に関わる以下の経費に使用することを条件
・事業所開設費(事業に関わる事務所、店舗、倉庫等の賃料)
・備品費(事業の実施に不可欠な備品の購入・リース料)
・人件費(事業の立ち上げに必要な臨時アルバイトの賃金、謝金、交通費)
・その他ちふれ化粧品が必要と認める経費
審査のポイント 企業理念、新規性・独創性・優位性、市場性(市場の成長見込み)、起業の目的、マーケティング戦略、地域経済活性化への波及効果、収益性/事業計画の精度
※ちふれ化粧品ホームページより一部抜粋

採択率は公表されていないものの、2017年度(第5回)の支援事業が1件だったことから大変狭き門と言えます。ですが、自身の起業に対する計画性や収益見込みなどを確認する意味でも応募を検討する価値がありますね。
 
※【新創業融資制度】について詳しく知りたい方はこちら

2.地方自治体からの助成金・補助金も検討できる!

日本政策金融公庫からの創業融資以外にも、各地方自治体が独自に女性起業家に対して融資や助成金・補助金を行っていますので、いくつかご紹介します。
 
【横浜市/融資】女性おうえん資金(女性起業家支援)
1ヵ月以内に横浜市内で個人事業を開始する方もしくは2ヵ月以内に市内で会社を設立し事業を開始する方を対象に、最大3,500万円(助成率3/4以内)が融資される制度です。融資期間は運転資金:7年以内、設備資金:10年以内で担保は原則として不要。融資制度なので返済が必要ですが、利率が1.9%と低金利のため横浜市で起業を考えている女性の方必見ですね。
【東京都/助成金】若手・女性リーダー応援プログラム助成事業
都内の商店街で開業予定の現在事業を営んでいない個人を対象に、最大730万円(助成率3/4以内)が助成される制度です。助成金の内訳は、事業所整備費として400万円、実務研修受講費として6万円、店舗賃借料として1年目:月15万円、2年目:月12万円となっています。商店街は衰退に向かう傾向にある場所もありますが、都内で自分の店を持ちたい!という方はぜひご検討ください。
【福井県大野市/補助金】店舗形成事業補助金
「北陸の小京都」と呼ばれる大野市では、市街地の空き地や空き家を活用して出店する方及び既存店舗の後継者に対し補助金を交付しています。この補助金は男女問わず対象となりますが、女性経営者の場合は補助対象の経費を1/2まで補助してもらえます(通常は1/3、共に上限100万円)。補助対象の経費は(1)店舗の新築又は改装に要する経費(2)店舗運営に必要不可欠な備品の購入費用(3)その他市長が特に必要と認める費用の3つです。
 
自治体独自でのものは種類が多岐にわたっているため、創業しようとする地区の融資情報はこまめにチェックしましょう。
 

資金調達に悩んだら相談してみよう

※2014年版中小企業白書より抜粋

 
上記は、女性起業家が一番苦労するのは「幅広い経営全般の習得」である、というデータです。起業することで経営者になるわけですが、サラリーマン時代と違って仕事と生活の時間の区切りが付けにくいことや、ママ起業の場合は経営に加え日々の家事・育児が押し寄せます。経営者同士の関係を築きにくく、作成・提出しなければならない書類や締結しなければならない契約書など何もかもわからないまま起業してしまって大変だった…という経験談も。
そんな中で起業のための資金調達方法を考え、選び、実行していくことは本当に大変です。
1人で悩みを抱えてしまいそうな時は、外部の力を借りることも大切です。詳しくないのに膨大な書類に手こずって時間を消費するよりは、創業融資や起業に強い税理士事務所や社労士事務所に相談することで時間を事業内容の充実に割くことが出来ますし、家事・育児で疲弊していくことも軽減できるのではないでしょうか。
炊事洗濯、掃除に育児、それらに付随する名もない家事、さらに経営者としての創業手続きは、「時間・手間・専門知識をお金で買う」と割り切ると楽になります。
初期の相談は無料で受け付けてくれる税理士事務所も多いですから、ぜひ一度相談してみてください。