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日本政策金融公庫で融資を受けられないのはどういうケース?



1.〇〇にキレイな体が大事!NGなのはこの7つ

融資に積極的な政府系金融機関である日本政策金融公庫ですが、当然融資には審査があり、それに落ちると融資を受けることは出来ません。各融資制度で決まっている適用対象者の要件に合致していない場合は当然として、それ以外にはどのような場合に融資を受けられないのでしょうか。ここではその理由を7つに分けて、ご説明します。
 
(1)自己資金の無い人
日本政策金融公庫の融資制度には、自己資金要件のあるものとないものがあります。あるものは多くが融資額の1/10程度となっています。自己資金要件の無い融資制度も数多くありますが、実際には1/10~1/3程度は自己資金がある経営者の審査が通りやすいようです。というのも、自己資金が本当にまったくないとなると「創業に本気ではない」「準備不足」と判断されてしまうことが多いから。自己資金の有無は審査の際に提出する銀行などの預金通帳で判断されますので、起業を考える場合は毎月少しずつでもコツコツと貯金するようにしましょう。なお、自宅でタンス預金として現金で貯めていた、と主張してもそれを証明できないため、きちんと記帳することが重要です。
 
(2)自己資金が見せ金である(と判断される)人
「見せ金」とは、いったん親族や友人、消費者金融などから自己資金と見せるためにまとまった資金を借り、融資が下りたら返金するもの。融資審査のために「見せるだけのお金」だから「見せ金」というわけです。審査のために提出した預金通帳に突然まとまった金額が入金されていれば、見せ金を疑われます。審査担当は、「自己資金の金額」だけではなく、「資金の出所」にとても注意を払います。そのため、前項の「(1)自己資金の無い人」で説明した通り、タンス預金でコツコツ貯めていたものをまとめて入金・記帳したとしても、それが「見せ金ではない」と証明することが難しい=審査通過が難しい、ということになるわけです。
 
(3)金利の高い金融機関から借り入れがある人
例えば消費者金融、カードローン、クレジットローンなど、金利の高い金融機関から借り入れが発生している人は、融資に通ることは難しいでしょう。不足する自己資金を補うためにこのようなところからお金を借りるようなことは決してしてはいけません。前項までの自己資金不足を解消するために借り入れをしたとしても、審査段階で提出した預金通帳で必ずお金の出所を聞かれます。仮に「親に出資してもらった」などと嘘をつくと、「では親の通帳を持ってきてください」と言われて必ずバレます。このようなことは絶対にしないようにしましょう。なお一般的に「高い金利」とは、10%を超えるものだと言われています。
 
(4)クレジット事故を起こしている人
「クレジット事故」とは、返済の遅延や踏み倒しのこと。これらの事故を過去5~7年以内に起こしていると「信用情報に瑕がついている」と判断されるため、融資を受けるのは難しくなります。ただし過去にクレジット事故を起こしていても、その後に返済の実績がある場合は借りられるケースも。その場合、借りられても融資希望額よりも減額されてしまうことが多いようです。自分の信用情報については、CIC(割賦販売法・貸金業法指定信用情報機関)のホームページから調べることが出来ますので、融資の面接までにぜひ一度調べてみてください。
 
(5)支払いに遅延・延滞が発生している人
電気・ガス・水道といった光熱費や携帯電話代など、毎月発生する支払いについて遅延や延滞が発生していると、融資を受けるのは難しいでしょう。これらのことが起きているとお金に関して「計画性がない」と判断され、回収見込みがない経営者ということになってしまいます。月々の支払い以外で、固定資産税や住民税など税金の支払いに遅延・延滞がある場合にもまず融資を受けることは出来ません。これは日本政策金融公庫の財源が税金であることからも当然と言えます。
 
(6)事業に計画性がない人
融資を利用する場合に必ず提出することになるのが「事業計画書(創業計画書)」です。この計画書がどれだけ精緻に出来上がっているかが融資審査を通るためには大変重要です。この計画書は①創業の動機②経営者の略歴等③取扱商品・サービス④取引先・取引関係等⑤従業員⑥お借入の状況⑦必要な資金と調達方法⑧事業の見通し、の8項目を記入しますが、特に⑧の事業の見通しは「創業当初」と「軌道に乗った後」の月平均の売上高や原価、経費詳細などを記入します。ここに公庫担当者を納得させられるだけの一貫性と計画性がないと審査通過は難しいでしょう。
 
(7)過去に「創業する事業の経験」がない人
例えば「美容師の経験がまったくないのに美容室を開業しよう」という人と、「美容師として10年働いたから経験を活かして独立をしよう」という人では、当然後者の方が融資を受けやすいですね。まったくの未経験だと「単なる思い付き」と判断されてしまう可能性があり、「(6)事業に計画性がない人」と判断されてしまいます。これから起業しようとする事業の経験が一度もない場合は、自己資金の貯金を兼ねて数年は経験を積んだ方がいいでしょう。なお、コンビニなどフランチャイズの開業においては、事業運営の仕組み自体が未経験者でも出来るようになっているため、この限りではありません。
 
以上7つの条件の多くに共通する内容は、「お金のトラブルがないこと」。つまり、日本政策金融公庫の融資を受けようとする場合は、「お金にキレイな体」であることが大事だと言えますね。
 

2.最終的には「人対人」

上記7つの項目に関してはクリアしているし、これで融資は通ったも同然!と安心するのはまだ早いです。融資を受けるための最後の難関、「面談」が残っています。日本政策金融公庫に融資を申し込むと、面談の時に持参する資料が書かれたものが届きます。事業計画書(創業計画書)や印鑑、源泉徴収票、通帳などを持参することになりますが、これらは面談時に間に合わないことのないように確実に揃えましょう。面談では公庫側は「回収できるかどうか」を見極めたいわけですから、当然売り上げの根拠や収支予定について突っ込んだ質問をしてくるでしょう。面談の担当者によっては厳しいことを言ってくる人もいますが、決してキレたり、相手が不快になる態度をとったりしてはいけません。基本的に公庫は「融資をしたい」と考えているので、どんなに圧迫面接のような物言いだったとしても融資を受ける側にとっては味方です。そんな相手にキレてしまっては、どんなに前項の条件をクリアしていても、担当者は審査に落としてしまいます。最終的には「人対人」であることを念頭に置いて、面談に臨みましょう。
 

3.審査に落ちないために出来ること

まず、7つの条件に当てはまらない状態に自分を持っていくことが一番大切です。同時に、1円でも多く自己資金を貯めるようにしましょう。公庫の融資は「念入りに準備をすれば受けられる可能性が高い」ものであると同時に、「1度審査に落ちてしまうと再チャレンジは非常に難しい」融資でもあります。日本政策金融公庫の融資とは、不合格だった理由を修正して何度もチャレンジできるようなタイプではなく、一発勝負なのです。自分だけでの準備に不安がある場合は、税理士事務所など専門家に指導・助言をもらうことも考えましょう。万全を期して融資審査に挑む、これが大事です!