中小企業・経営者のための助成金、補助金、創業融資のサポートサイト サンジュウシ

日本政策金融公庫を利用するデメリットとは



1.とにかくなんでもわかりにくい!場所は?制度は?

一般の人に「日本政策金融公庫を知っているかどうか」を聞いても、「知っている」と答える人はそう多くはいないでしょう。融資を検討する段階になって初めて知る、という人も少なくないはず。必要になってからでも調べていけば、融資に積極的な政府系金融機関であり、中小企業の強い味方であることがわかりますし、実際に利用する可能性も一番高いです。ただ、この公庫、とにかくなんでもわかりにくいことがデメリットのひとつと言えます。
 
(1)場所がわからない
ネットで公庫を調べ、数多く存在する融資制度を調べ、自分が利用できるものを見付け、いざ相談に行こうと思った時に「どこに?」となりがちです。実は公庫は全国に152の支店があり、対象者ごとに相談する事業先が異なります。
【国民生活事業】「個人企業や小規模企業の方・創業をお考えの方」「教育ローンをご希望の方・恩給や共済年金などを受けている方」
【中小企業事業】「中小企業向け長期事業資金をご希望の方」
【農林水産事業】「農林漁業や国産農林水産物の食品加工・流通業の方」※委託金融機関または最寄りのJAでも取扱可
上記の事業ごとに支店業務区域が分けられており、支店の地図検索や最寄り支店の一覧などは公庫のホームページに掲載されています。
 
(2)制度がわからない
公庫の融資制度は、全部で100以上のメニューがあります。各メニューそれぞれに対象要件が細かく決まっており、自己資金や担保・保証人の要不要、利率などが異なります。まず、自分が利用できる制度を探すだけでも大変ですね。よくある対象要件のわかりにくい部分について、いくつかご説明します。
【税務申告】対象要件に「税務申告2期未満の方」などと書かれていることがありますが、個人事業主の場合は「確定申告」、法人の場合は「決算」がそれにあたります。
【利率】制度によって「基準利率」や「特別利率」という言葉が出てきますが、それぞれ担保の有無や融資制度で決められた対象者などによって利率が変わります。公庫のホームページに利率がそれぞれ一覧で掲載されているので、確認するようにしましょう。
【返済期間の据置期間】通常融資は返済が始まるその日から、借り入れた「元金」とその「利息」を返済することになりますが、据置期間の設定がある場合には「その期間中は利息分のみを支払い、元金分は猶予される」ことになります。創業当初など売り上げが安定しない時期には大変助かりますね。
【担保・保証人】「担保設定の有無、担保の種類などについては、ご相談のうえ決めさせていただきます。」と記載があるものは、担保や保証人の有無などで融資金額や利率が変わる、ということです。
 
融資を検討する場合には「事業資金相談ダイヤル(0120-154-505平日9~17時)」に電話することをおすすめします。最寄りの支店を案内してくれますし、申し込み手続きなども教えてもらえます。
 

2.急ぎの人には向いてない?かかる期間は

例えば銀行の融資などは審査内容が厳しいものの、比較的スムーズにすすみ借入金の入金まで1週間程度です。消費者金融やカードローンなどはもっと短く、数日で振り込まれるでしょう。ですが日本政策金融公庫で融資を受ける場合には、3週間から1ヵ月(場合によっては2ヵ月)ほどかかることがあり、その融資が決定されるまでかなりの時間的余裕をみて申請する必要があります。実際には申請するまでに融資制度を探すところから資料集めまでの時間も必要ですので、もう少し長くかかる印象を受けるでしょう。これほど時間がかかる理由の一つに、公庫が「融資専門の金融機関」であることが挙げられます。自分のメイン口座がある銀行で融資を申請するなら、銀行口座の動きを銀行側が把握するのは簡単です。ですが公庫の場合はそれらを預金通帳からひとつひとつ調べ、複数口座がある場合にはすべてに同じ作業をし、残高や毎月の収支、資金繰りに関して調査しなければなりません。また提出した書類に不備があった場合には再度提出しなおさなければならず、さらに時間がかかってしまいます。日本政策金融公庫での融資を検討する場合には、「融資が必要になってから」ではなく、「融資が必要になるかもしれない」という段階で準備を始めるのが得策と言えます。
 

3.書いてないけど必要になるものが実はあります

公庫の融資制度は対象要件などが非常に細かく書かれていますが、実は「書いてない(説明されていない)けれど、重要なこと」があります。これを知らないと「こんなはずじゃなかった!」ということになりかねませんので、是非とも注意しておきたいですね。
 
(1)自己資金が必要になる
公庫には自己資金要件の記載がない融資制度が数多く存在します。これは「自己資金がまったくなくても融資を受けられる」わけではなく、あくまでも「申請が出来る」だけです。「自己資金がなくても融資します!」と大々的に謳っているものでなければ、原則として希望融資金額の最低でも1/10、出来れば1/3は用意しておいた方が融資の審査は通過しやすいでしょう。
(2)保証人が必要になる
最近では「無担保・無保証」を大きく打ち出す融資制度もありますが、そうでなければ基本的に保証人は必要です。創業者自身を保証人とすることで認められる融資ならいいですが、そうでない場合は保証人を探すことに苦労するでしょう。保証人を見付けられそうにない場合は、「無保証」となっている融資制度から申請することになります。
(3)民間金融機関からの借り換えは出来ない
民間金融機関の住宅ローンのように、返済総額を少しでも減らすために借り換えを…と考える人もいると思いますが、公庫融資の事業資金を借り換えることは難しい場合が多いことを知っておきましょう。というのも、対象要件に「融資した借入金の使いみち」が細かく決められているから。ここに「借り換え」はありません。さらに、民間金融機関から日本政策金融公庫への借り換えは出来ません。これはかつて、公庫の金利が低いことから民間金融機関の融資を受ける経営者が減ってしまい、銀行などの融資額が減ってしまったから。民業圧迫として問題になったのです。
(4)融資交渉は難しい
民間金融機関である銀行から融資を受ける場合は、その銀行に給与振込口座を指定したり、定期預金口座を開設したりするなど融資に対する交渉材料がありますが、公庫の場合は融資専門の政府系金融機関であるため、あくまで提出された事業計画書などの書類と面談で判断されます。利益を追求しているわけではないので、利用者側に有利な条件を引き出せる余地がないわけです。そのため、提出する書類は特に念入りに作成する必要があるのです。
 
このように、明記はされていないけれど重要な事項というのは確実に存在しており、起業家がこれらを網羅するのは大変難しいですね。日本政策金融公庫の融資は一発勝負ですから、デメリットもきちんと把握したうえで融資審査に臨みたい場合には、税理士事務所など外部のプロを頼ることもひとつの方法です。