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海外展開資金とは



1.海外進出を諦めないで!海外展開資金とは

日本の繊細な技術は海外でも高い評価を得ることが多く、世界的な企業で使われている部品が日本の町工場で作られているなんてことも現実にあるお話です。これらは決して「日本国内で大成功を収めたから海外へ進出」したものばかりではありません。原材料の供給問題や国内市場の縮小など、外的要因に伴って半ば強制的に海外進出するケースもあるでしょう。このような場合、資金の調達が間に合わないということが考えられます。海外進出するには資金が…と悩む経営者の方は、ぜひ「海外展開資金」をご検討ください。
 
積極的に融資を行う政府系金融機関の日本政策金融公庫には、「海外展開・事業再編資金」という融資制度があります。概要は以下の通りです。

ご利用いただける方 次のいずれかに該当する方
1. 経済の構造的変化等に適応するために海外展開することが経営上必要であり、
かつ、次の(1)~(3)の全てに該当する方
o (1)開始または拡大しようとする海外展開事業が、当該中小企業の本邦内における事業の延長と
o   認められる程度の規模を有するものであること
o (2)本邦内において、事業活動拠点(本社)が存続すること
o (3)経営革新の一環として、海外市場での取引を進めようとするもので、次の(ア)~(エ)の
o   いずれかに該当すること
(ア)取引先の海外進出に伴い、海外展開すること
(イ)原材料の供給事情により、海外進出すること
(ウ)労働力不足により、海外進出すること
(エ)国内市場の縮小により、海外市場の開拓・確保に依らないと成長が見込めないため海外展開すること
2. 海外における経済の構造的変化等に適応するために次の(1)及び(2)を満たす方
o (1)海外直接投資に係る海外展開事業を再編(全部又は一部を廃止することを含む。)することが、
o   経営上必要であること
o (2)本邦内における事業活動は継続し、中長期的にみて発展することが見込まれること
3. 海外直接投資に係る海外展開事業の業況悪化などにより、本邦内における事業活動が影響を受けている方
資金の使いみち 当該事業を行うために必要な設備資金及び運転資金(海外企業に対する転貸資金を含む)なお、「ご利用いただける方」の2に該当する方が必要とする運転資金には海外展開事業の再編(全部又は一部を廃止することを含む。)のための資金及びこれに伴う債務の返済資金を含みます

融資限度額 7,200万円(うち運転資金4,800万円)
ご返済期間 設備資金 20年以内(うち据置期間2年以内)
運転資金 7年以内(うち据置期間2年以内)
利率(年) 基準利率
ただし、「ご利用いただける方」の1に該当する方で、以下の条件に該当する場合は特別利率
1. 海外直接投資を行う方であって、利益率や本邦内の雇用維持など一定の要件を満たす場合
2. 海外生産委託又は海外販売強化を行う方であって、クールジャパンの推進に資する事業を行うなど、
一定の要件を満たす場合
3. 海外生産委託又は海外販売強化を新たに行う場合(海外展開後5年以内の場合を含む。)
4. 海外知的財産権を活用した海外展開事業(海外知的財産権の取得費用を除く。)を行う場合
保証人・担保 お客さまのご希望を伺いながらご相談させていただきます。

※日本政策金融公庫ホームページより一部引用・抜粋
金利はおよそ2%前後となっており、民間の金融機関やカードローンなどよりもかなり低い数値となっています。また保証人や担保について不安がある場合、日本政策金融公庫の特例措置制度である「新創業融資」を併用することで、3,000万円(うち運転資金1,500万円)までは無担保・無保証で融資を受けることが出来ます。この場合、今度は「新創業融資」の対象要件を満たす必要があるので注意しましょう。
 

2.ほかにも使える制度があります

「海外展開資金」を利用したうえで、さらに利用できる融資があります。それは「挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)」。こちらも海外展開資金と同様に日本政策金融公庫の融資メニューで、海外直接投資を行う方に限られますが4,000万円まで無担保・無保証で借り入れることが出来ます。挑戦支援資本強化特例制度の概要は以下の通りです。

ご利用いただける方 次の1および2を満たす法人または個人企業の方
1 適用できる融資制度 次の(1)から(10)までのいずれかの融資制度の対象となる方
(1)新規開業資金
(2)女性、若者/シニア起業家支援資金
(3)再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)
(4)新事業活動促進資金
(5)中小企業経営力強化資金
(6)食品貸付
(7)普通貸付(ただし、前(6)の対象者にかかる運転資金に限ります。)
(8)海外展開・事業再編資金
(9)事業承継・集約・活性化支援資金
(10)企業再建資金
2 その他の条件 次のいずれの要件も満たす方
地域経済の活性化にかかる事業を行うこと。
税務申告を1期以上行っている場合、原則として所得税等を完納していること。
融資限度額 4,000万円(1(9)の融資制度に限り、別枠4,000万円となります。)
ご返済期間 5年1ヵ月以上15年以内
ご返済方法 期限一括返済(利息は毎月払)
利率(年) ご融資後1年ごとに、直近決算の業績に応じて、貸付期間ごとに3区分の利率が適用されます
担保・保証人 無担保・無保証人
その他 本特例による債務については、金融検査上自己資本とみなすことができます。
本特例による債務については、法的倒産手続きの開始決定が裁判所によってなされた場合、全ての債務(償還順位が同等以下とされているものを除く)に劣後します。
融資条件など 審査時に事業計画書をご提出いただく必要があります。
税務申告を1期以上行っている場合、原則として所得税等を完納されていることが必要です。
四半期ごとの経営状況の報告等を含む特約を締結していただきます。

※利用には一定の要件を満たす必要があります。詳しくは、公庫支店の窓口までお問い合わせください。
※日本政策金融公庫ホームページより一部引用・抜粋
この融資の最大の特徴は、金融機関から借入金を「自己資本」とみなしてもらえること。借入期間中すべてではありませんが、償還期限まで5年以上ある場合は借入金の全額がみなし資本となります。さらに業績によって返済利率が変動するため、投資初期の業績が上がりにくい期間には低金利で利息部分のみ返済し、業績が上がれば高い利率で返済することで「会社に負担の無い返済計画」を立てることが出来ます。なお、元金は償還日に一括返済になるため準備が必要です。
 

3.海外進出に悩んだら

「海外進出をしたい」「海外進出しなければならない」理由はさまざまだと思いますが、海外進出のためには資金調達以外の基本的なこととして、語学や現地の経済状況など検討しなければならないことが非常に多くあります。通常の業務もこなしつつそれらのことを行うのはとても大変ですね。融資の申請には事業計画書の提出が必要で、それを作るだけでも大変な労力がかかります。そんな時は、外部の専門家の力を借りることも非常に有効です。資金調達や事業計画書に関してはプロに任せることで、自分は海外進出する事業について集中して考えることができます。ぜひ一度、税理士事務所や社労士事務所などに相談に行ってみてください。