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経営改善資金とは



知らないと倒産するかも?!経営改善資金とは

どうも経営がうまくいかない…。いまはまだ問題ないけれど、このままだと経営が危なくなるな…。
そんな時に利用できる資金調達方法、それが「小規模事業者経営改善資金(通称:マル経融資)」です。政府系金融機関である日本政策金融公庫の融資制度のうちの一つで、無担保・無保証で融資を受けられることが最大のメリット。
経営改善資金の概要をご紹介します。

ご利用いただける方 常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業の場合は5人以下)の法人・個人事業主の方で、以下の要件をすべて満たす方
・商工会・商工会議所の経営指導員による経営指導を原則6カ月以上受けていること
・所得税、法人税、事業税、都道府県民税などの税金を完納していること
・原則として同一地区で1年以上事業を行っていること
・商工業者であり、かつ、国民生活金融公庫の融資対象業種を営んでいること
・商工会議所会頭、商工会会長等の推薦があること
融資限度額 2,000万円
利率(年) 日本政策金融公庫ホームページにて随時更新
ご返済期間 設備資金10年以内(うち据置期間2年以内)
運転資金7年以内(うち据置期間1年以内)
担保・保証人等 保証人、担保は不要
※日本政策金融公庫ホームページより一部引用

このように、無担保・無保証(信用保証協会の保証も不要)で最大2,000万円の融資が得られる経営改善資金。自己資金要件もなく、非常に利用しやすい制度だと言えます。ただし、「ご利用いただける方」にもある通り、税金の滞納があると融資は受けられません。この融資制度を運営している日本政策金融公庫は税金をその財源として融資を行っているため、これは当然と言えます。
またいくら「経営改善のための資金」であるといっても、融資である以上は審査があり、「返済可能である」と判断されなければ借り入れをすることは出来ません。つまり、本当に日々の支払いにも困ってしまうほど経営が行き詰ってからでは利用が難しいということです。ギリギリになる前に、利用を検討しましょう。
実際どのような時に利用を考えられるのかと言うと、運転資金としては例えば「新製品を扱いたいけど、仕入れ金が不足している」ような場合や手形決済資金として、設備資金としては「工場や店舗の改装資金」や「車両購入費」としての利用が考えられます。
なお、沖縄県だけはこの資金の運営は日本政策金融公庫ではなく、「沖縄振興開発金融公庫」となります。

商工会議所との付き合いが必要?

前項では触れませんでしたが、実は重要な項目があります。
それは「ご利用いただける方」の中の「商工会・商工会議所の経営指導員による経営指導を原則6カ月以上受けていること」と「商工会議所会頭、商工会会長等の推薦があること」。この対象要件を満たすためには、商工会議所の会員になっておく必要がありそうですが、実はそんなことはありません。経営改善資金の融資を受けるだけであれば、非会員のままでも問題ないのでご安心を。ちなみに、加入する場合には加入金数千円程度と年会費数万円(資本金による)が必要です。

商工会議所の経営指導を受けるためには、まず経営相談に行くことになります。そこで「マル経の利用を検討したい」旨を相談することで、話がすすんでいきます。経営指導は商工会議所の経営改善資金の担当者が経営指導員として行います。なお、各商工会議所によってこの経営指導の実態は異なるようで、「会員であれば会費を払った期間=経営指導期間」とみなしてしまうところや、2ヵ月に1回程度「調子はどうですか?」と訪問する程度のところもあれば、「6ヵ月間の帳簿提出=経営指導期間」としているところもあるようです。これだけは事業所在地の最寄り商工会議所に行かないと確認が取れません。
いずれにせよこの「経営指導」を受けて、「返済可能」と判断されれば商工会議所会頭や商工会会長の推薦をもらうべく、経営指導員が申請することになります。この推薦をもって、やっと「経営改善資金」の申し込みが出来るわけですね。

この推薦が取れれば、よっぽどのことが無い限り、かなりの確率で融資を受けることが出来るでしょう。比較的審査が優しいことも経営改善資金の特徴と言えます。
なお推薦以前の問題として、「これがあったら審査通過はかなり難しくなる」というものがあります。前項で「税金の延滞」を挙げましたが、それ以外にも「消費者金融・高利の金融機関(金利10%以上が高利と言われています)からの借り入れ」「自己破産歴」「債務超過」などが挙げられます。これらがあると「返済能力がない」と判断される可能性が高いので、お金に関してはきれいな体でいるようにしましょう。

利用するまでの流れ

実際にこの資金を利用する場合には、どのような流れになるのでしょうか。

1.同一地区で1年以上営業を継続
  同じ商工会議所管轄地区内であれば、移転しても問題ありません。
2.最寄りの商工会議所に経営相談に行き、経営指導を受ける
  原則として指導は6か月間以上受ける必要があります。無料です。
3.経営指導員が審査会に申請、商工会議所会頭もしくは商工会会長の推薦を得る
4.商工会議所推薦の書類と事業者の融資申込書を経営指導員が日本政策金融公庫に提出、推薦依頼をする
  この段階で融資を申し込むための書類が必要となるため、経営指導を受けている間に必要書類を確認しておきましょう。
5.公庫が融資を審査、判定
6.融資実行

経営指導を6ヵ月も受けている時間がない、という場合、経営指導員の「濃密指導」を受けることも考えましょう。これは半年分の預金通帳などを提出することで、半年間の経営指導が不要になるというものです。経営相談の時に、融資実行までの希望期間の話も出来るといいですね。

経営指導や融資申し込みのための必要書類は、各商工会議所によって微妙に違いがありますが、基本的なものは以下の通りです。

法人 個人事業主
前期・前々期の決算書および法人税の確定申告書 前年・前々年の決算書(または収支内訳書)および所得税の確定申告書
法人税、事業税・法人住民税の領収書または納税証明書 所得税、住民税の領収書または納税証明書
商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書) 決算後6ヵ月以上経過の場合、最近の残高試算表もしくは月別売上表
決算後6ヵ月以上経過の場合、最近の残高試算表 個人所有の不動産の不動産登記簿謄本
会社所有および代表者所有の不動産の不動産登記簿謄本

その他、許認可業の場合は「許認可証」、濃密指導を依頼する場合には「預金通帳(半年分)のコピー」など。

上記以外にも、仕事関係での表彰やマスコミで取り上げられた記事、許認可業の場合はより上位の免許などがあればそれらは自社をアピールする材料となります。

無担保・無保証で自己資金要件なし、さらに審査が比較的優しい「小規模事業者経営改善資金」は、対象要件が多くありますが難しいものではないので、経営資金で悩みがある方はぜひ一度検討してみてください。