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起業するための資金調達の方法



起業するにはお金がかかる!資金調達で絶対知っておくべきこととは

「自分で事業を起こしたい!よし、起業しよう!」と思っても、なかなかすぐに「ハイ、今から私が社長です!」とはいきません。きちんと事業として成り立つように起業するには、すべきことがたくさんあります。事業内容の詳細を考えたり、利益が出るように売り上げ計画を練ったり、会社の設立場所を考えたり。実は起業に向かっていく中で、一番頭を悩ませることになるのが「お金」に関すること。設備投資だったり、運営資金だったり、物件の賃貸料だったり、何かと最初はお金が掛かるものです。すべて自己資金で賄えるのであればリスクは少ないですが、多くの人は創業資金をよそから調達することになります。では、その資金調達の方法にはどのようなものがあるのでしょうか。
 
そもそも、起業するには何を用意したらいいのでしょうか。「自分の趣味のものを作って、知り合いに売る」というようなレベルではなく、「会社」として設立するのであれば、一般的に創業にあたって必要な準備は3つです。
①事業計画書をつくる
②資金を集める
③会社設立手続きをする
①の事業計画書はなくても会社設立は出来ます。ですが、これがないと自分のやろうとしている事業の内容や収益プランが明確化しませんし、よそから資金調達することも難しいでしょう。この事業計画書がどれだけ精度高く完成しているかによって、資金調達には雲泥の差が出てしまいます。
 
そして、一番の難関が②の資金集めです。資金調達について、絶対に知っておくべきことはたったの2つ。
 
一つ目は、「出来る限り自己資金を貯めておく」こと。「お金は銀行から借りるんでしょ?」と考える方も多いと思いますが、“銀行”に民間金融機関を想定している場合、これはかなり難しいです。なぜなら「創業=収益の構造が見えない」から。すでに事業として成り立っているものに対しての融資であれば、過去の収支から利益を確認することが出来ますが、新しく起こす事業の場合はそれがありません。民間金融機関は融資の回収だけでなく金利による収益を上げないといけないので、収益構造が見えないだけでなく融資の回収すら不安定な創業者に融資をしてくれる可能性はとても低いのです。仮に借入できたとしても、利息を払っていく必要があります。借入金の額が大きいほどその利息額が大きくなってしまうのは当然のことですから、出来る限り借入金額を少なくするために自己資金の割合を高めておいた方がいいのです。
 
二つ目は、「起こす事業の目的や事業モデルによって、資金調達の方法が変わる」ということ。例えば、起こそうとしている事業のモデルが世の中のどこにもない、まったくの新しいビジネスだったとします。急激な成長が見込まれ、世の中に革新をもたらすようなもの(スタートアップと呼ばれます)であった場合には、収益構造として基本的にしばらくは赤字になることが多く、金融機関からの借入は見込めません。これらのケースでは資金調達は個人投資家やベンチャーキャピタルに頼ることが多くなるでしょう。逆に飲食店や美容院を開業する、弁護士事務所や会計事務所を開設するといった既存事業の創業(スモールビジネスと呼ばれます)の場合、開業当初から売り上げを見込むことが出来るため、金融機関からの借入になることが多いです。金融機関から創業融資を受ける場合には、①の事業計画書(創業計画書)で収益構造を説明したうえで「借入金を返済できる」ということを証明します。このため、事業計画書は精度高く作成する必要があるのです。
 

資金調達の方法は、○種類もある!

上記にも書きましたが、資金調達の方法は民間金融機関以外にもいくつかあります。ここでは民間金融機関も含め、おすすめ順にそれらをご紹介します。
 
①日本政策金融公庫から借りる
日本政策金融公庫は国が100%出資している政府系の金融機関です。税金で運営しており、創業者に積極的に融資を行っています。二大創業融資として「新創業融資制度」「中小企業経営力強化資金」が有名ですが、共に無担保・無保証、かつ比較的低い金利で2,000~3,000万円借り入れをすることができます。
 
②信用保証協会付の融資を利用する
信用保証協会とは、もしも創業者が金融機関に借入金を返済できなくなった場合、代わりに返済してくれる国の機関です。この保証がついた融資を信用保証協会付融資といいます。借り入れの際に保証料の支払いが発生するため、割高になります。民間金融機関や自治体が行っている創業者向けの融資は、ほとんどがこのタイプになります。この保証が付いていないタイプの融資は「プロパー融資」と呼ばれています。
 
③助成金や補助金を利用する
これらは融資とは違い、原則的には返済不要です。ただし基本的に後払いであることと、厳しい審査があり受給までに半年から2年ほどかかってしまうことから、自己資金の割合が高い創業者向けであると言えます。「助成金」は厚生労働省が持っている予算で、「人に関するもの(採用や人事制度の変更など)」に対して受給できます。「補助金」は経済産業省系のものが多く、「設備投資など」に対して受給できるものが多いですね。
 
④家族や親族、友人から借りる
貸す方と借りる方の折り合いが付けば、比較的自由な条件で借りられることがメリット。金融機関などからの借入と比較して、返済の条件や利息などある程度融通が利くことが多いですね。一方、何かトラブルがあるとそのまま人間関係に反映されやすいところがデメリットと言えます。返済が遅れる、急に返済を迫られる、金銭の借入を理由に事業内容に口を出してくるなどのトラブルが考えられ、上手く解決できないと関係の断絶や場合によっては裁判沙汰になってしまうことがあります。
 
⑤個人投資家やベンチャーキャピタルから出資を受ける
これらから資金を調達する場合は、「融資」ではなく「出資」という形になります。原則返済不要ですが、その代わりに会社の株式を提供することになります。提供する株式の割合によって会社への関与度合いが変わるため、注意が必要です。この資金調達の方法はスタートアップ系の事業モデルに多く、最終的に投資家から上場や売却を求められます。特にベンチャーキャピタルはこれを本業としているため、あまり知識や経験のない創業者の場合は不利な条件で契約を結んでしまうことがあります。
 
いかがでしょうか。
実は上記以外にもクラウドファンディングや私募債など資金調達の方法はあるのですが、専門的な知識や経験が必要であったり、起業ではなく新規事業向けだったりするため、今回は外しています。数多く存在する資金調達の方法から、自分の事業内容や事業モデル、スタイルに合うものをきちんと見極めたいですね。
 

結局どれが一番オススメの方法なのか

「起こす事業の目的や事業モデルによって、資金調達の方法が変わる」と説明しましたが、“起業する時”と限定するならばやはり①の日本政策金融公庫をオススメします。無担保・無保証である程度の大きな金額を融資してくれる金融機関はほかにはありませんし、金利も低めです。また借入金が手元にくるまでの期間も比較的早いため、タイミングを逃さず起業できます。審査は厳しいですが、創業計画書や借入書など、サポート機関を利用するなどしてしっかり作り上げていきましょう。