返済不要だけじゃない!助成金の5つのメリット
① 返済は不要!
返済義務がない、これは助成金の最大の魅力だと思います。金融機関からの融資は借金なので金利も含めて返済しなければなりませんが、返済不要となれば大きなメリットですよね。助成金は企業が収めている雇用保険料や税金の一部を財源にしたもので、労働環境等を整備した企業に対し助成金を支給するという仕組みになっています。財源が雇用保険料だと考えれば、要件をクリアできた、あるいはできるのであれば受給するべき制度なのがわかると思います。
② コストのかからない収入
助成金はコストがかからない直接収入です。売上げではなく経理上では雑収入扱いとなります。通常であれば売上げからコストを差し引いた額を純利益として処理しないといけないので、そのまま収入となるのはメリットになりますね。
③ 使い道は自由
経理上、雑収入となる助成金はその全額の使い道が自由に決められます。例えば高齢者雇用関係の助成金は高齢者の雇用に関する目的にしか使ってはならない、などの縛りはありません。設備投資に回してもよし、社員の教育訓練に使ってもよし、融資の返済に充ててもよいのです。
④ 会社の信頼度がアップ
先ほども述べた通り、助成金の財源は雇用保険料など。そのため受給できる最低要件として労働環境の整備があります。助成金を受給できた企業=労働環境が整っている企業だと国からお墨付きをもらったことになり、間接的に労働環境に問題がないことが証明されます。対外的に会社の信用につながるのです。これは公的融資などが受けやすくなるというメリットにもなります。
⑤ 労働者の満足度がアップ
企業は助成金を受給するために労働環境を整備する必要がでてきます。これはすなわち現在の労働環境が見直され、改善あるいは新たな制度ができるなど労働者にとってプラスになることなのです。職場の満足度が高くなる効果も期待できます。また労務リスクの予防効果もあります。労使トラブルは労働環境が整備されていない、守られていないなどの原因が多いので、助成金受給のため労働環境が改善されれば労務リスクの予防にもつながるのです。
見逃すと損をする?助成金のデメリット
メリットがたくさんある助成金ですが、もちろんデメリットもあります。このデメリットを知ることは、助成金に振り回されないための重要なポイントにもなるのでぜひ参考にしてください。
① 手間がかかる
助成金を申請するためには、その助成金の受給要件がクリアできている必要があります。受給要件の内容は細かく、それらがクリアできていることを証明するための関連資料なども添付しなければなりません。また助成金の多くは計画書の届け出などの事前申請から始まり、規定期間運用した後にやっと支給申請をすることができます。支給申請には期限があるため、せっかく事前申請をして運用を始めたのに、支給申請の期限内に申請を済ませられなければアウト。受給はできないのです。
② 受給までに時間がかかる
助成金は申請が通ればすぐに入金されるのではなく、原則後払いとなります。受給までに大体半年からなかには1年以上かかるものもあります。助成金をすぐに資金繰りに回すような計画には注意が必要です。
③ 要件の変更や廃止もありうる
期限までに提出しないとアウトと書きましたが、ならば翌年申請すればいいやと思う人もいるかもしれません。しかし翌年同じ助成金があるとは限らないのです。助成金の支給要件は毎年変更する可能性があります。支給内容の変更や支給要件の変更、目的が達成されたということで終了してしまったり廃止になるものもあります。また新しい助成金ができることもあります。
④ お金重視の受給はマイナスになることも
気をつけなければならないのは、せっかく申請が通った助成金が企業にとって負担になる場合があるということです。
例えば、中小企業を対象とした退職金制度を導入していると新規加入者に対し約1年間掛金の半額が助成されます。しかし助成が終わったからと言ってその加入者を脱退させたり、勝手に掛金を下げることはできません。助成終了後は元々の掛金を払い続けなければなりません。最初からこの制度を導入することが目的でその予算計画もできていれば助成金は収入になってプラスになりますが、最初の1年分の助成金のみを当てにするとその後の出費でマイナスになってしまいます。
返済不要の助成金は非常に魅力的ですが、助成金をもらうことが一番の目的になると長期的にはマイナスになることもあります。また助成金を収入源の一つにしてしまうと、その助成金が廃止されてしまった場合に事業が立ちいかなくなることも考えられます。やみくもな助成金申請はせず事業目的に合った助成金を受給するようにしましょう。
メリット・デメリットからみる助成金の上手な活用ポイント
一口に助成金と言ってもメリットだけでなくデメリットがあることもわかっていただけたかと思います。それではこの助成金を上手に活用するにはどんな点に注意すればいいのでしょうか。以下ポイントをまとめました。
① 最低条件は必ずクリアしておく
助成金の受給にはそれぞれ細かい要件が設定されていますが、雇用関係助成金には共通の要件があります。
□ 支給のため審査に協力すること
□ 申請期間内に申請を行うこと
□ 支給申請日の属する年度の前年度より前のいずれかの保険年度の労働保険料を納入していない事業主
□ 支給申請日の前日から起算して1年前の日から支給申請日の前日までの間に、労働関係法令の違反があった事業主
□ 事業主または事業主の役員等が、暴力団と関わりのある場合
□ 事業主または事業主の役員等が、破壊活動防止法第4条に規定する暴力主義的破壊活動を行った又は行う恐れのある団体に属している場合
□ 支給申請日または支給決定日の時点で倒産している事業主
□ 不正受給が発覚した際に都道府県労働局等が実施する事業主名簿の公表について、あらかじめ同意していない事業主
Aにはすべてにチェックが必要で、Bには一つもチェックがついてはいけません。いくらがんばって書類を揃え申請してもこのチェック項目がクリアできていないと無駄な努力となってしまいます。基本的なことですがしっかりチェックしておいてください。
② 会社に合った助成金を選ぶ
助成金は国や地方自治体などを合わせると3,000種類以上あるともいわれ、その内容も多岐にわたっています。製品開発や設備投資、技術開発など研究開発型の助成金も多くありますが、下記に紹介する助成金は雇用関係の助成金で受給要件をクリアすれば受給確率が高いと言われているものです。新規雇用や雇用維持、職場環境の改善・向上、育児・介護・休業者への対応、キャリア形成や訓練など、一般企業に共通する身近な助成金の一部です。
・特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)→65歳以上の高年齢者の雇用
・特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)→高年齢者・障害者・母子家庭の母等の雇用
・特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)→学校の既卒者や中退者の雇用及び継続雇用
・キャリアアップ助成金→正社員への転換、賃金や処遇の改定など
・子育て期短時間勤務支援助成金→育児のための短時間勤務制度の整備
・中小企業両立支援助成金(継続就業支援コース)→育児休業者の現職等に復帰
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③ 助成金は専門家である社労士のサポートを受けるのも手
助成金を活用するポイントでネックになるのがデメリットでも述べた「申請に手間がかかる」という問題です。せっかく利用できそうな助成金があったとしても、煩雑な手続きのために受給をあきらめてしまうのはもったいないですよね。また数ある助成金の中からどの助成金が受給できるのかを調べるのも手間です。そもそも助成金の情報を知らないと受給できるチャンスを逃してしまうことにもなります。こうした問題点を解決できる専門家が社労士です。助成金を申請したいと思った人は社労士に相談することをおすすめします。助成金に精通した社労士に相談すれば似たような要件の助成金を組み合わせ、複数の助成金を受給できる可能性もあります。
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