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プロパー融資とは



プロパー融資って何?他の融資と何が違うの?

プロパー融資は銀行が行う事業融資の一つです。銀行が行う事業融資にはこのプロパー融資ともう一つ、信用保証協会の保証付き融資があります。保証付き融資は信用保証協会が保証人となる融資で、万が一貸し倒れになっても信用保証協会が80%を保証してくれるという融資です。銀行にとってリスクの少ない融資となります。一方、プロパー融資は銀行が直接審査して銀行の資金で貸付けを行う融資です。万が一回収できなくなった場合は全額リスクを背負うことになるので、銀行にとってはリスクの高い融資となります。現在はノンバンクが主流のビジネスローンも含めて特徴を比較してみましょう。

プロパー融資 信用保証協会保証付き融資 ビジネスローン
金利 低い 高くはない 高い(商品ごとに固定)
審査 厳しい 比較的通りやすい 甘い
審査期間 2週間程度(即日可能の場合あり) 1〜2ヶ月 即日〜
融資上限額 上限なし 担保なし:8,000万円まで
担保あり:2億8,000万円まで
〜1,000万円程度
返済期間 保証付き融資より短い 長期間 短い(最長5年程度)
保証料 なし 融資額に応じてあり なし
創業間もない企業への融資 難しい 借りやすい プロパー融資よりは借りやすい
担保・保証人 担保:必要な場合あり
保証人:不要
あると融資額が増やせる 不要
特徴 大企業、優良企業向けの低金利、大口融資 創業間もない企業、中小企業向けの融資 短期のつなぎ融資などスピード融資

この比較表からもわかるようにプロパー融資のメリットは低金利。プロパー融資の金利はビジネスローンのように年率○%〜○%というように定められていません。企業ごとの個別対応になるので、融資額や返済期間に応じて金利を引き下げる交渉もできます。また融資額に上限がないのもメリット。高額融資が可能になります。一方デメリットは審査が厳しいところ。プロパー融資は審査基準が高いのでなかなか審査を通過できません。条件をかなり厳しくして、この条件を通ったものは貸し倒れしないと銀行が太鼓判を押した企業にのみ融資をする、ということです。しかし審査を通過できた場合はその企業の信用力の高さが証明されたことになります。また融資決定の結果は信用情報機関に記録されるため、他行にも信用力をアピールすることができます。

メリット デメリット
・保証料がかからない
・限度額なし
・無担保OKの場合あり
・審査が厳しい
・起業してすぐの融資は難しい

プロパー融資は厳しい!?受けるための条件とは

プロパー融資は貸し倒れのリスクを抑えるために厳しい審査基準を設けています。ではどのような条件をクリアすると融資を受けることができるのでしょうか。細い条件は銀行ごとの設定がありますが、一般的に重要視されている条件は次のとおりです。

①自己資本比率が高いか
自己資本比率は、総資産に対して自己資本がいくらあるかをみる指標になります。

自己資本率=純資産÷総資産×100

自己資本率が大きいほど優良な企業となり、30%以上だと融資が通りやすいといわれています。

②純利益が多いか
純利益とは、売り上げから税金などを差し引いて最終的に手元に残った利益のことです。いくら売上が多くても純利益が残せていなければ審査は通りません
例えば

A社:売上げ10億円に対して純利益5,000万円
B社:売上げ5億円に対して純利益1億円

売上げはA社の方がありますが、B社の方が純利益を残せています。A社は何かしらの無駄を生じているとみられるかもしれません。純利益が多ければ返済能力が高いとみなされ審査も有利になります。

③格付けが高いか
格付けとは銀行が企業の決算書の数字をもとに10段階に区分けしてランク付けしたものです。この格付けは①自己資本率や②純利益を含んだ決算書の数値をもとにコンピュータで分析されたものです。銀行ごとに分析内容は異なりますが、一般的な格付けは以下のとおりです。この格付けで融資の8割は決まるといわれている重要なものになります。

格付け 債務者区分 内容 融資方針
1 正常先 財務状況が優れている
 
 
 
 
 
 
 
財務の先行きが不安定
積極的
 
 
 
 
 
 
 
 
 
消極的
低金利
無担保
 
 
 
 
 
 
 
 
高金利
要担保
2
3
4
5
6
7 要注意先 要注意先 財務状況が不安定
注意が必要
要管理先 財務状況に問題
管理を徹底する必要あり
融資対象外
8 破綻懸念先 財務状況に重大な問題
破綻の可能性あり
9 実質破綻先 厳しい経営難
破綻の危機に瀕している
10 破綻先 深刻な経営難
実質破綻している

プロパー融資を受けるにはまず格付けが1〜6の正常先であることが前提条件となります。格付けが高ければ金利もその分低くなり、担保条件も緩くなります。逆に格付けが低いと金利は高くなり担保条件も厳しくなります。1も6も正常先ではあっても1の方が融資条件がいいということです。この格付けを上げるには、計算のもととなっている決算書の数値を良くすること、すなわち上記①自己資本比率や②純利益を高くすることで格付けも高くなりやすくなります。

④面接で好印象を与えられるか
8割は格付けで決まるといった融資ですが、残りの2割は数値化しにくいものからの判断となります。中でもポイントになるのが面接です。企業の信用力は数字だけで見るのではなく、実は経営者の人柄も審査ポイントとしてみています。いくら業績がよく返済能力の高い財務状況であっても、経営者が返済に非協力的な態度をとりそうだと見なされれば融資の可能性も低くなってしまいます。態度の悪い経営者よりも真面目で真摯な態度の経営者の方が銀行も信用できると見るでしょう。長期にわたり毎月返済ができるのか、それは経営者の人柄でも判断されています。

プロパー融資を引き出すコツは〇〇付き融資にあり?そのポイントとは

プロパー融資の審査は厳しいため銀行から融資を受けたことがない、創業してまだ年数が浅いという場合は、まず審査に通ることは難しいと思います。しかしプロパー融資は一部の大企業しか受けられないのかといったらそんなことはありません。優良な中小企業でプロパー融資を受けているところはたくさんあります。プロパー融資を受けられる企業になるために重要なのはコツコツと実績を積んで、銀行と信頼関係を築くことです。具体的にはどのように実績を積んでいけばいいのでしょうか。

① 銀行にメイン口座を作る
取引したい銀行にメイン口座を決めて口座のお金の流れを共有します。メイン口座に入出金を集中しておけば事業でどんな取引をしているのか銀行に理解してもらいやすくなります。

② 保証付き融資を利用する
メイン口座を決めたからといっていきなりプロパー融資が受けられる可能性は極めて低いです。まずは銀行で扱っている信用保証協会の保証付き融資を受けましょう。保証付き融資は銀行側のリスクも少なくて済むため、比較的審査が通りやすいのが特徴です。

③ 保証付き融資で実績を作る
業歴が浅い場合などは一度ではなく何度も利用して実績を作ります。銀行にきちんと返済できると示すことができるので、銀行との信頼関係を築くことにもつながります。

④ 短期の小口プロパー融資を利用する
それではプロパー融資に、と行きたいところですが、おそらくこの時点ではまだ信用が足りません。長期融資は保証付き融資を利用し、並行して6ヶ月〜1年くらいの短期の小口プロパー融資を利用します。短期で小口ならば銀行にとってもリスクが少なく貸し出しやすいため審査も通りやすくなります。

⑤ 長期・低金利のプロパー融資の交渉へ
短期の小口プロパー融資が利用できれば、あとはそこから交渉をして少しずつ額を大きくしていき、目標の長期・低金利のプロパー融資を引き出します。成功すれば他行にもアピールできる実績になるので、一つの銀行だけでなく複数の銀行でプロパー融資を受けることも不可能ではなくなります。

ポイントは③④の期間に業績を伸ばすことです。これができないといくら実績を積んでも長期・低金利のプロパー融資を引き出すことはできません。そしてここまでの道のりをみてもわかるように、かなり長い期間を要します。それは信用や信頼は今日明日で築けるものではないからです。すなわち長期的な事業計画が必要になるということです。