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創業融資を受けるいいタイミングは?



1.ここを逃すと難しい!?初めての創業融資のタイミング

起業する!と決めてから、創業の計画を立てたり設備の準備をしたりと忙しい日々を過ごす中で必ず立ちはだかる壁、それが「資金調達」です。自己資金ですべてを賄うには貯金に時間がかかってしまう、けれども近々大きなお金が入る予定はない…。そんな時に利用できるのが創業融資ですね。もっとも有名な政府系金融機関である日本政策金融公庫を始め、信用保証協会の保証付き融資やプロパー融資などさまざまな創業融資がありますが、これらの利用に最適なタイミングはいつなのでしょうか。

まず、初めての創業融資を受ける場合のベストタイミング。これは間違いなく、「創業するその時」です。

創業時にある程度の自己資金がある場合、「なるべく借金は増やしたくないから、自己資金で頑張れるところまでやってみる」と思ってしまいがちですが、これは大変危険な考え方です。なぜなら実際に創業して事業が開始してしまうと、融資を受けるための審査が経営状態を元に判断されてしまうから。事業を開始してから順調に売り上げが伸びていけばいいですが、経営当初はなかなか予定通りにいかないのはよくあることです。いくら融資に積極的な日本政策金融公庫であっても融資が借入金である以上、回収が見込める起業家にしか資金を貸してはくれません。最初から「延々赤字が続きますが、融資をお願いします」という起業家はいないでしょう。融資を受ける際の審査には事業計画書(創業計画書)を提出しますが、この書類は事業開始前であれば「右肩上がりの黒字継続事業」として申請出来ます。そういう意味で、創業融資は実際に事業が開始される前がベストタイミングなのです。個人事業主であれば税務署に届け出を出した直後、法人の場合は会社設立時に必要な登記簿謄本(履歴事項全部証明書)が出来上がった直後がそのタイミングとなります。

設備資金のことは考えていても、経営していく上で大切な運転資金については失念している経営者も多いそうです。ある程度自己資金があり創業当初は資金に余裕があると思っても、創業時には融資を申請する。順調に経営を続けていくためには、これが鉄則となります。

2.困ってからでは遅い!追加融資のタイミング

創業時が一番借りやすいタイミングだとは知らなかった!もうその時期は過ぎてしまった!思ったより売り上げが伸びない…。そんな人も中にはいるでしょう。創業時はとかく忙しいものです。借りようと思っていたのに「とりあえず自己資金でなんとかしておこう」と思っているうちに「創業直後」を逃してしまった、もしくは創業融資を借りたけれども売り上げが順調に推移していかない…という事態は想像に難くありません。
ですが創業して期間が過ぎてしまうと、実際に融資を受けるのは難しくなります。なぜなら「実績をもとに融資可否の判断がなされる」から。前項にも書いた通り、創業融資の場合は実績がない段階のいわば「未来の事業計画書」で判断してもらえますが、実績がついてしまうとその結果によって「回収見込みがあるかどうか」がとてもシビアに審査されます。「売り上げは順調か」「予定通りに収益を計上できているかどうか」「資金繰りで困ってはいないか」これらのことがチェックされ、もしも「順調でない」と判断されると「イコール回収見込みなし」となり、融資を断られてしまうことも。少なくとも最初に受けた融資を3割程度は返済してから追加融資の利用を検討しましょう。
追加融資を受ける場合には、本来この段階になる前に手を打つ必要がありますが、赤字になってしまっていたら絶対に融資を受けられない、というわけではありません。「現段階では赤字だけれども、今後は黒字に転換していく」ということを示すことが出来れば、融資を受けることは可能です。また日本政策金融公庫には創業後であっても利用できる融資制度が数多く存在します。少人数の会社であれば「小規模事業者経営改善資金(マル経融資)」が、認定支援機関に助言や指導を求めるなら「中小企業経営力強化資金」が利用できます。どちらも創業から1~2年が経過した経営者が利用できる融資制度なので、検討する価値があります。また“事業開始からおおむね7年以内”が対象要件の「新規開業資金」や、「女性、若者/シニア起業家支援資金」もあります。「女性、若者~資金」は、性別・年齢だけでなく開業から7年以内の方も対象となっているので申請することが可能です。
上記以外にも多くの融資制度がありますが、いずれにせよ追加融資審査のための事業計画書は、慎重に作成しましょう。そもそも大変難しいものなのです。創業者が事業計画書の作成になれているのでなければ、税理士事務所などの専門家に依頼することをおススメします。
 
※【中小企業経営力強化資金】について詳しく知りたい方はこちら
※【新規開業資金】について詳しく知りたい方はこちら
※【女性、若者/シニア起業家支援資金】について詳しく知りたい方はこちら
  
3.完済後の再融資は〇年以内にしよう
融資を受けるタイミングとして、「創業融資」「追加融資」のほかに「完済後の再融資」があります。例えば日本政策金融公庫で以前に融資を受けていて、その融資は完済しているという場合。実は日本政策金融公庫で再融資を受ける場合、ある条件を満たすことで素早く、容易に審査を通すことが出来ます。初めての融資となる創業融資が審査に1ヵ月程度かかるところを再融資は1週間前後で審査通過ということもあり得ます。
そのための条件とは、「再融資は完済後3年以内に受けること」。
公庫では融資を完済してから3年が経過すると、そのデータは破棄してしまいます。データが破棄されてしまうと初めて公庫で融資を受ける時と同じ状態になってしまうため、過去に融資の返済実績があったとしてもそれを一から説明しなければいけません。そのため時間がかかるのです。これを避けるために、3年以内に継続して融資を受けることをおすすめします。ただし、返済中に延滞などをしてしまった場合はこの条件に当てはまらなくなるので注意が必要です。返済が滞ることなくきちんと完済する、それこそが公庫にとっての優良顧客であり、スピーディーに再融資を受けるための必要最低条件なのです。優良顧客であれば公庫側から追加融資の連絡が来ることもあり、そうなれば融資を受けることはより容易になります。
また日本政策金融公庫ではなく、信用保証協会の保証付き融資を利用するという選択肢もあります。公庫よりも利率が高くなったり審査が厳しくなったりと中小企業には少々ハードルが高くなりますが、信用保証協会の融資は金融機関だけではなく都道府県や市区町村といった各自治体で独自に設定されているものが多いため、その条件に合致すれば融資を受けることも可能となります。いずれにせよ融資を受ける時には「返済遅延がない」「消費者金融からの借入がない」といった「お金にきれいな顧客」であることがとても重要になりますので、借りたお金は予定通りに遅滞なく返済していくようにしましょう。
 
上記までに説明してきました追加融資や再融資ですが、それを受ける理由によっては、助成金や補助金を検討することも出来ます。人材育成のための追加融資・再融資を検討しているのであれば、厚生労働省管轄の助成金が利用できるかも知れません。募集期間は短いですが、タイミングが合えば中小企業庁管轄の補助金も可能性があります。資金調達をする理由をしっかり考えたうえで、「創業時」「追加融資」「再融資」など各タイミングを計っていきたいですね。
 
※【創業者が知っておくべき助成金と補助金の違い】について詳しく知りたい方はこちら